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2026/02/27

【獣医師監修】それ、実は勘違いかも!? 犬のたんぱく質、よくある誤解3選

TOPアイキャッチ_ムキムキになると心配している飼い主

犬のごはんで、よく話題になる「たんぱく質」。
「うちの子、そんなに運動しないし…」
「たんぱく質って、ムキムキになるんじゃないの?」
そんなふうに思ったことはありませんか?

 

しかし、獣医栄養学の観点から見ると、たんぱく質は単なる筋肉の材料ではなく、生命活動そのものを支える中心的な栄養素です。
よくある誤解をひとつずつ整理しながら、犬にとってのたんぱく質の本当の役割をひも解いていきましょう。

 

 

 

■ 誤解① 「たんぱく質を摂ると筋肉ムキムキになる?」

 

 

これは、人のトレーニングや「プロテイン」という言葉のイメージから生まれた誤解です。確かに、たんぱく質は筋肉の材料になります。しかし実際には、体内に取り込まれたたんぱく質はアミノ酸へと分解され、体のほぼすべての組織の構成に利用されます。

愛犬の全身を覆う毛の材料が全てたんぱく質だとわかるイメージ画像

ムキムキになる心配よりも、まず考えたいのは「犬にとって、必要なたんぱく量がきちんと足りているかどうか」。
小型犬だから、室内飼いだから、少量で良いと思っていませんか?
犬の母乳の栄養組成を見ると、人と比較してたんぱく質含有量が4倍以上も高く、犬が本来、成長・体の維持に多くのたんぱく質を必要とする動物であることを示しています。

 

▶ 人と犬の母乳の違い【獣医師監修】たんぱく質の重要性 犬にとって必要な量は?

 

肉食動物の特性を持つ犬にとって、たんぱく質は人以上に重要な栄養素です。
毎日食べているドッグフードの原材料表を見て、

・お肉や魚などの動物性原材料が主原料になっているか
・たんぱく質をしっかり摂れる設計になっているか

を一度チェックしてみましょう。

 

▶ 見方はこちら【獣医師監修】目で見てわかるたんぱく質不足の症状

 

 

 

誤解② 「小型犬は体が小さいから、たんぱく質などの栄養も少なめでOK?」

 

 

確かに現在主流の小型犬に関して「体も小さいし、栄養も少なめでいいのかな?」と思ってしまいがちです。

 

しかし、たんぱく質は体内に蓄積できない栄養素であり、常に分解と合成を繰り返す“回転率の高い栄養素”です。

 

不足すると、体は筋肉などの組織を分解してアミノ酸を補おうとするため、体調や体力低下の原因になる可能性があります。

 

犬は、人よりも消化管が短く、動物性たんぱく質の消化吸収に適した体の構造を持っています。消化吸収率の高い動物性たんぱく質を使用したフードであれば、一度に食べる量が少ない小型犬でも、少量で効率よく必要なたんぱく質を摂取できるという点で大きなメリットがあります。

たんぱく質たっぷりの食事で元気になる小型犬のイメージ

■ 誤解③ 「年を取ったら、たんぱく質は控えたほうがいい?」

 

 

年齢を重ねるほど、「栄養は控えめにしたほうがいいのでは?」と感じる方も多いかもしれません。ですが、これも誤解です。

 

確かに、活動量の落ちるシニア期に脂肪分などのエネルギーを摂り過ぎると、肥満の原因になることはあります。
しかし、すべての栄養素を減らしてしまうと、かえって体調を崩すことも。

 

加齢とともに体では、

・たんぱく質合成効率の低下
・筋肉量の低下(サルコペニア)

が起こることが知られています。
そのため、普段からたんぱく質が不足していると、体力や免疫力の低下につながる可能性があります。

 

もちろん、腎疾患など特定の病気を抱えている場合には食事管理が必要になるため、個別に獣医師へ相談することが重要ですが、健康なシニア期においては、エネルギー量を調整しながら、質の高いたんぱく質を適切に補うことが健康維持の鍵になります。

 

 

 

■ たんぱく質は愛犬の健康の“基礎”

 

 

犬にとってたんぱく質は、人のトレーニング時に使う「プロテイン」のような特別な栄養ではありません。
体をつくり、守り、機能させ続けるための、生命活動の根幹を支える栄養素です。
日々の食事の中で、たんぱく質の「量」と「質」に目を向けることが、愛犬の健康を長く支える第一歩になります。

 


獣医師の先生にお聞きしました!獣医師・岐阜大学名誉教授 深田恒夫先生