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2023/09/20

【獣医師監修】たんぱく質を摂りすぎると腎不全になるって嘘?本当?

たんぱく質は3大栄養素の一つ。カラダを作る構成成分として知られています。

 

 
エネルギー源といえば、炭水化物や脂質が優先的にエネルギーに変わりますが、たんぱく質に余裕があるときはたんぱく質もエネルギーとして使われます。

 


 

■今まで言われてきた高たんぱく質と腎不全の関係

 
今まで、「たんぱく質を取り過ぎると腎臓に大きな負担をかける」と考えられていました。食事から摂取したたんぱく質は体内で消化される際に老廃物が発生します。腎臓はその老廃物をろ過し体外に排出させる働きをすることから、たんぱく質の摂取量が多ければ多いほど、腎臓に負担がかかり、腎不全になると考えられてきました。
 
しかし、私たち獣医師が使う一般的な教科書には、慢性腎臓病の原因は「糖尿病」、「高血圧」などの病気が挙げられています。
では、たんぱく質はどうでしょうか?教科書の中では、たんぱく質の過剰摂取が腎不全の原因とは書かれていません。
 
腎臓の健康に関して、たんぱく質をたくさん食べると腎臓によくないという考え方があります。これは「過剰濾過説(かじょうろかせつ)」と呼ばれるもので、腎臓機能が悪くなるメカニズムを語る上で、大切な考え方の一つ言われていました。この説は、腎臓の大部分が機能していない場合、残された腎臓に負担がかかり、次第に腎臓機能が失われていくというものです。
 
しかし、最近の人間における調査研究では、高齢者のたんぱく質の摂取量と腎機能の低下は関わりがないこと、そして、高齢者がたんぱく質を多く摂取することで腎臓を保護する可能性があると報告されています。併せて、たんぱく質の総量ではなく動物性たんぱく質でも同様のことが言えるとされています。※1
 


 

■年を取るほどたんぱく質が大切になる理由

 
人でも犬でも腎不全の症状が出てくるのは肝臓機能の75%以上がダメージを受けた時で、それまでは症状が出てきません。
今までは、早い段階で血液尿素窒素やクレアチニンの値を測り、たんぱく質の摂取量を制限してきました。しかし、新しい研究では摂取量の制限は必要ないと言われています。これは人間についての研究ですが、犬においても同様のことが言えるのではないかと思われます。
 
高齢者がたんぱく質を十分に摂取できていないと、加齢に伴い増加するフレイルやサルコペニアが原因で、腎機能をはじめとする様々な身体機能が低下します。たんぱく質を摂取することで、身体機能が衰える悪循環を抑制するのではないかと思います。※2
 

 
シニア犬も同様に老衰(ろうすい)や関節疾患で運動不足になり、身体機能が低下し筋肉が衰えてきますので、高たんぱく質の摂取が必要と考えられています。
 

POINT
リガロは、愛犬がいくつになっても健康で健やかに、「元気にお散歩に行けて、ごはんをおいしく食べられる」といったあたりまえの日常生活が1日でも長く続いて欲しい。そんな思いを込めて、シニア犬向けの高たんぱく質フードを開発しました。
■リガロとは>>>

 


 

■シニア犬こそしっかりたんぱく質を食べよう!

 
犬が「たんぱく質を多く食べると腎臓病になる」かどうかは、慢性腎不全の犬と健康なシニア犬の両方を用いた研究から、たんぱく質が腎臓に悪影響を及ぼさないことが確認されています。
ただし、すでに慢性腎不全の犬には、リンとたんぱく質を制限した食事が良いということが分かっています。しかし、健康なシニア犬に対しては、たんぱく質を制限する必要はなく、逆に制限すると悪影響があるかもしれません。
 
犬は老齢になると必要なたんぱく質量は約25%増える一方で、必要なカロリーは減っていく傾向があります。たんぱく質が不足すると、筋肉が減ってしまいます。健康的に長生きできるよう、カロリーや脂質を抑えながら、十分なたんぱく質を摂取することが大切です!
 
犬が腎臓の機能が正常でも不全でも、適度なたんぱく質を食べることが長生きにつながると思われます。大切なワンちゃんの健康のために、バランスの良い食事を心がけましょうね。
 


※1:Sekiguchi,T., et.al.(2022) Association between protein intake and changes in renal function among Japanese community-dwelling older people: The SONIC study、Geriatr Gerontol Int. 22:286-291
※2:D P Laflamme、(2008)Pet food safety: dietary protein、Top Companion Anim Med、23(3):154-7.

 


獣医師の先生にお聞きしました!