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2025/08/29
【獣医師監修】子犬の未来は“ごはん”で決まる —成長期に必要なたんぱく質とフード選びのポイント

子犬を迎えた時のごはん選び
子犬を迎えたとき、多くの飼い主はその子がこれまで食べてきたフードをそのまま与えることでしょう。しかしそのフード、本当に育ち盛りの子犬の栄養をカバーできていますか?
実はここに、犬の未来を左右する大きな分かれ道があるのです。
また、ブリーダーさんの中には子犬がよく食べるからと言う理由で、子犬の栄養より嗜好性(よく食べるかどうか)やコストを優先することもありますので、子犬のフードを再考することは飼い主の最初の重要な役割でもあります。
成長期は一生に一度
犬の成長スピードは人間の比ではありません。小型犬なら生後6か月、大型犬でも1年程度でほぼ成犬になります。成犬になってから犬は1年間で人間の4年分成長します。骨・筋肉・内臓・皮膚・免疫…すべてがこの時期に形成されるのです。この成長の土台を支える最重要栄養素がたんぱく質です。
犬にとってたんぱく質は生涯必要な栄養素ですが、特に成長期にはたんぱく質の多いフードを選ぶようにしましょう。
たんぱく質は“体を作る材料”そのもの
たんぱく質は筋肉の元になりますが、皮膚、被毛、血液、ホルモン、酵素、免疫細胞などの成分になり、ほぼ全身に関わっています。
成長期の犬は、成犬の2〜3倍のたんぱく質が必要で、見た目は小さいながらも、その体の中ではたんぱく質がたくさん使われています。
たんぱく質は体の中で貯めておけず、不足すると発育不全、免疫低下、毛並みの悪化などにもつながります。またその他の栄養素である、炭水化物や脂質などのエネルギー源が不足した際にも、代打としてたんぱく質がエネルギーに利用されます。この様にたんぱく質には多くの出番がありながら、体中に蓄えておけないことからも、毎日の食事で充分に補う事が大切です。
子犬用フードのチェックポイント
「子犬用」と書かれていても、そのフードのたんぱく質の量と質は千差万別です。見るべきポイントはパッケージの「保証分析値」と「原材料」です。
ドッグフード(総合栄養食)の栄養基準として、子犬用フードのたんぱく質量は22.5%以上と定められています。多くのドッグフードはこの基準を少し上回る数値に設定されています。ドッグフードの栄養素の中で、たんぱく源が最も高価であることから、手に取りやすい価格で販売するために、たんぱく質量を調整しているメーカーもあります。
また、たんぱく質の多いフードでも第一主原料が“トウモロコシ”や“米”などの穀物だと、消化・吸収効率が悪く、元来肉食動物である犬は上手に栄養として活用できません。
正しい知識でフードを選ぶ
愛犬は食事を自分で選ぶことができませんから、私達飼い主が愛犬の成長と健康を、食事の栄養面から吟味することが大切です。高品質なたんぱく源(チキン・ラム・ターキー・フィッシュなどのお肉)が第一主原料として使用されていますか?たんぱく質の量は十分でしょうか?
成長期は、質の高いたんぱく質をしっかり摂らせる大チャンス期間でもあります。子犬に必要な栄養素を理解し、知識を持って選んだフードが数年後の「元気な成犬」として返ってきます。「何を食べるか」は「どう育つか」に直結するのです。