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2025/05/28

【獣医師監修】「肥満は愛情ではない」— 愛犬の健康を守る正しいダイエットの始め方

近年、犬にも“肥満”が増えているのをご存じでしょうか?
「つい、おやつをあげすぎてしまう」「ちょっと太ってるくらいが可愛い」――そんな気持ちが、愛犬の健康をむしばむ原因になることも。

 

犬の肥満は、心臓病や関節への負担など、さまざまな病気の引き金にもなり得ます。

 

今回は、愛犬の体型管理に欠かせない“正しいダイエットの基礎知識”をご紹介します。

 
 
 

適切なフード量=DERを知っていますか?

 

人間と違い、犬は自分で食べる量を調整することができません。与えられたものを食べる、これが犬の本能です。
そのため、飼い主さんが「どれだけ与えるか」をしっかり管理することが、ダイエットの第一歩になります。

ここで出てくるのがDER(1日当たりのエネルギー要求量)です。ディーイーアールと読みます。
DERは、犬の体重や年齢、活動量などをもとに計算され、「その子にとって必要な1日のカロリー」が導き出されます。

 

DERの簡易計算式
DER(kcal)=70+30×体重(kg)

 

この目安に活動係数(子犬で2~3、成犬で1.5)を掛けて給与量を導き出します。
たとえば体重5kgの成犬であれば、70+30×5=220kcal
220kcal×1.5(活動係数)=314kcalが1日の目安です。

この計算式を参考に、与えるフードのカロリーを確認して調整すれば、基本的に肥満になることはありません。
活動係数は愛犬の生育状況や活動量によって変化しますので、もし計算が難しい場合はかかりつけの獣医さんに相談してみましょう。

 
 
 

愛犬のダイエット方法 〜7つのポイント〜

 

肥満が気になる場合、以下のような方法を取り入れることで、無理のないダイエットが可能になります。
 

① 食べる量を見直す

まずはフードの総量の見直しから。必要以上に与えていないかチェックし、目安のカロリーをオーバーしていないか確認しましょう。
 

② ふやかして満足感をアップ

同じ量でも満腹感を得やすくするには、ぬるま湯でふやかすのがおすすめ。かさが増すことで満足感もアップします。
 

③ 食事の回数を増やす。

一度にたくさん食べると太りやすくなるため、1日2回だった食事を3~4回に分けることで血糖値の急上昇を防ぎます
 

④ 低脂肪・高たんぱくなドッグフードに切り替える

脂質が少なく、筋肉を維持するたんぱく質が豊富なフードを選ぶことも有効です。摂取カロリーを抑えつつ、栄養バランスも整います。
 

⑤ おやつ・間食を控える

人の食事中に食卓からフードを与える習慣は要注意。
「ついひと口…」の積み重ねが肥満の原因に。どうしてもおやつをあげたいときは、主食をその分減らすことを忘れずに。
 

⑥ 運動も大切

運動だけで体重を落とすのは難しいですが、日々の散歩や軽い運動で代謝を保つことは重要です。
 

⑦ 食事中は隔離して誘惑を断つ

家族の食事中にそばにいさせると、つい何かあげたくなってしまいます。思い切って別室で待ってもらうのも一つの手です。

 
 
 

健康的なダイエットとは?「低カロリーなら大丈夫!」と思っていませんか?

 

カロリーが著しく低いフードは主原料に消化吸収率の低い穀物が使われていることがあります。例えばトウモロコシはカロリーは低いものの、便としてそのまま排出されることからも、愛犬の体内で栄養として活用されていません。摂取できるカロリーも低いですが、栄養価も低いという事です。これによる体重減少は栄養不足によって“やつれている”可能性も考えられます。
愛犬が健康的にダイエットできるよう、フードの原材料表を確認し、犬が本来消化吸収が得意なお肉が主原料のフードを選びましょう。その上で量を調整し、栄養をしっかり補いながら健康的にダイエットすることが重要です。

 
 
 

太るのは「犬のせい」ではなく「人のせい」

 

犬は、自分で食事を選んだり、量を調整したりできません。
だからこそ、飼い主さんが時には厳しく管理することが何より大切です。
「太ったかな?」と思ったら、まずはフードのパッケージを確認してカロリーをチェック。
そして、必要ならDERをもとに給与量を見直しましょう。
また原材料表の情報と併せて、本当に健康的にダイエットができるフードがどうか総合的に判断しましょう。
愛犬の長く健康的な人生のために、「適切な食事」「適切な量」「適切な生活習慣」を心がけてあげたいですね。