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2025/03/19
【獣医師監修】ドッグフードの消化の違いとは?お肉と穀物の分解メカニズムを解説

愛犬の健康を考える上で重要なのがドッグフードの「消化のしやすさ」です。
ドッグフードの主な成分はたんぱく質・炭水化物・脂質の3つのグループに分けられますが、それぞれの消化には異なる酵素が必要になります。
特に「お肉」と「穀物」では分解される仕組みが異なるため、ドッグフードを選ぶ際や切り替える際には、消化の違いを理解しておくことが大切です。
今回はお肉と穀物の消化の仕組みについて詳しく見ていきましょう。
■お肉(たんぱく質)の消化
お肉の主成分であるたんぱく質は、次のような消化酵素の働きによってアミノ酸へと分解されます。
・胃液(ペプシン):たんぱく質をペプトンに分解
・膵液(トリプシン・キモトリプシン):ペプトンをさらに細かく分解
・腸液(アミノペプチダーゼ):アミノ酸へと分解し体内に吸収
たんぱく質は筋肉や臓器の維持に必要な栄養素であり、犬の体にとって非常に重要です。
■穀物(炭水化物)の消化
穀物の主成分である炭水化物はエネルギーの供給源ですが、犬は肉食動物の名残から炭水化物を分解する酵素が少ないという特徴があります。
炭水化物は「糖質」と「繊維質」に分けられます。
糖質の消化酵素
・膵液アミラーゼ:デンプンをマルトース(二糖)に分解
・腸液スクラーゼ:マルトースを単糖(ブドウ糖・フルクトース)に分解
繊維質の消化
犬は繊維質を消化する酵素を持たず、一部は腸内細菌の発酵によって分解されます。
水溶性繊維は腸内で発酵し、腸内環境を整え、不溶性繊維は消化されず、便のかさを増やす働きをします。
また、犬の唾液にはアミラーゼ(デンプンを分解する酵素)が含まれていないため、人間とは違い、口の中での炭水化物の分解は行われません。
犬が苦手な食材とは?
また、炭水化物の消化についても、上記の通り消化酵素が少ないため得意ではありません。ですので穀物が多すぎるフードは消化に負担がかかることがあります。
また犬には乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ないことから、牛乳や乳製品を摂取すると下痢を起こしやすくなります。
ドッグフードを切り替える際の注意点
お肉と穀物は異なる消化酵素によって分解されるため、原材料が大きく異なるドッグフードに切り替える際には少しずつ慣らしていくことが大切です。
✔ 原材料をチェックし、消化しにくい穀物が第一主原料(最も多く入っている原材料)になっていないか確認する
✔ 切り替える場合は数日かけて少しずつ新しいフードを混ぜながら与える
✔ 愛犬の便の状態を観察し、消化に問題がないか確認する
消化の仕組みを理解し、犬にとってお腹にやさしいフードを選んであげましょう!