Column

小林弘幸

順天堂大学医学部付属順天堂医院 総合診療科 教授

小林 弘幸

愛犬の健康コラム

「ペットと自律神経」

人でもペットでも自律神経は、大切なライフラインです。

自律神経は、末端神経のひとつで、体の隅々にまで張りめぐらされた細い神経網です。交感神経と副交感神経のふたつに分けられ、血管、心臓、肺、腸などの内臓に伸びています。同じ末端神経でも体性神経は、手足の知覚や運動にかかわる神経なので、自分でコントロールできますが、自律神経は無意識のうちに働く内臓や血管にかかわる神経なので、自分で意識的に動かせません。自分で内臓の動きをコントロールできないのと同じです。

そしてこの自律神経が、人やペットの生命活動を維持する上で、脳と同じくらい重要な役割を担っています。

寝ている間も呼吸をしたり、心臓を動かすことができるのは、この自律神経のおかげです。また外気の暑さや寒さにかかわらず体温を一定に保つなど、体内の環境を一定に保つことを『恒常性』と呼びますが、これも自律神経の働きによるものです。

血液循環、呼吸、消化、排泄、免疫、代謝などは、すべてこの恒常性を維持するためのシステムであり、これらは自律神経によって維持されているのです。

その働きにおいてとくに大事なのは、交感神経と副交感神経のバランスです。たとえば交感神経は車でいえばアクセルのようなもので、交感神経の働きが一方的に優位になるとアドレナリンが過剰に作用します。その結果、血管が収縮して血流が悪くなり、頭痛、腰痛、高血圧、さらには脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。腸管は弛緩しますから内臓の機能も低下して潰瘍もできやすくなります。また興奮や緊張が高まれば、怒りっぽくなったり、逆に疲労感が出たりします。

ペットがこのような状況に陥った場合、元気がない、食欲不振、便秘、嘔吐、ドライアイ、唾液の分泌量減少、口臭の悪化、腹部の膨満等の症状がでます。

一方、副交感神経が優位な状態になると身体はリラックスします。ですから緊張感が高いときは、副交感神経を高める必要がありますが、そのためにもっとも有効な手段が腸内環境を整えることです。腸内環境がよくなると、副交感神経が上がるだけでなく、免疫力も上がり、風邪もひきにくくなります。

ただ、副交感神経が高くなりすぎるのも問題で、血管が過度に緩めば収縮時と同じように血流障害が起きてしまう。また免疫力を持った細胞の活性が落ちてしまい、がん細胞を攻撃できなくなり、がんになりやすくなります。つまり、人でもペットでも運動することによって、交感神経を活性化させる時間も必要だということです。

大事なことは、交感神経と副交感神経がバランスよく機能することなのです。

腸の働きをコントロールしているのは自律神経です。

不安や苛立ちで自律神経が乱れると腸の活動も悪くなりますが、逆に腸の活動を活性化させることで自律神経を整えることもできます。食物繊維や発酵食品をとって腸内環境を改善してみましょう。

実は、人間もペットも血液の質は腸で決まります。

腸内環境がよいと消化吸収が促されるだけでなく、良質な血液も作られるので内臓が活発になり、自律神経の活動はさらにアップするでしょう。

また、忙しい朝こそ、ゆっくりペットと過ごすことが大切です。

「ゆっくり」を実践するうえで、まず意識していただきたいのは、朝の過ごし方です。朝は何かと忙しく、慌ただしく過ごす人が多いのではないでしょうか。

しかし、バタバタとせわしなく動き回ると、交感神経(緊張・興奮の神経)の働きがグンと高まる一方、副交感神経(リラックスの神経)の働きは一気に下がり、自律神経のバランスが大きく乱れます。すると呼吸が浅くなるため、血流が悪くなります。そのうえ、朝の自律神経の状態は、その日一日の自律神経のバランスに大きく影響します。

朝、自律神経のバランスが乱れると、その状態が一日中続いてしまうのです。

だからこそ、朝はゆっくり過ごすことが大切です。

ゆっくりと起き出して、ゆっくりと顔を洗う。朝食も着替えもゆっくり行う。そして、少しの時間でも良いのでペットとゆっくり過ごす。それによって呼吸が安定し、自律神経は整い、心身ともによい状態で一日をスタートすることができるのです。

このことは、飼い主にもペットの健康にもつながるでしょう。

たった少しの余裕をもつことで、その日一日、自律神経のバランスをいい状態に保つことができるのです。

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